CROSSTALK座談会

部門リーダー座談会

企画開発から設計、そして量産と、製品づくりに一貫体制で取り組んでいるのが日本精機の大きな特徴。社内の各部門が密接に連携し、相乗効果を生み出すことで、独自性を発揮しています。この座談会では、各部門のリーダーたちの証言から部門間の関係性や社内風土について紐解き、連携の背景にある強みを明らかにしていきます。

  • Profile
    海外の車メーカーに対して、日本精機の窓口として営業活動を実施。新規受注が主なミッション。音楽好きで、趣味は和太鼓。最近はお気に入りの曲をピアノで練習している。
    山崎 和弘
    第6営業部 海外営業
    マネージャー
    2002年入社
  • Profile
    2017年にソフトウエア設計部から独立してできた第4品質保証部に所属。社内の第3者組織としてソフトウエアの開発プロセスを監視する。インドア派だが、釣りが好き。
    三冨 堅太郎
    第4品質保証部
    シニアマネージャー
    1999年入社
  • Profile
    メータやヘッドアップディスプレイを動かすためのソフトウエアの設計を担当。技術の進化や多機能化とともに、大人数のチームで開発に取り組むことが増えている。
    知野 哲也
    第2ソフトウエア設計部
    シニアマネージャー
    1997年入社
  • Profile
    車載メータの外側から見える部分「外装」の設計を担当。ゴルフ、ゲーム、観葉植物と多趣味だが、最近ハマっているのはYouTubeでゴミ屋敷処理の動画を見ること。
    吉田 貴輝
    外装設計部
    シニアマネージャー
    1998年入社
  • Profile
    購買部は、製品に使われる材料や部品を外部から購入する部署。高品質な部品を1円でも安く調達するために奮闘する日々。好きな言葉は「他人がいるから自分がいる」。
    土田 達
    第1購買部
    シニアマネージャー
    2001年入社

Q.1日本精機の強みが発揮される部門間連携のポイントはありますか?

山崎
各部門のスキルの高さが、日本精機の強みです。それらのまとめ役を果たすのが営業。お客さまから仕事の話をいただいた際に、技術やお金、生産能力といった各方面の課題を一気にまとめて動かしてくところが、私たちのミッションです。私は普段は海外のお客さまとやり取りをしていますので、今回のメンバーと直接連携を取ることは実はあまりありません(笑)。
知野
例えば、お客さまがどういう物を作りたいかという入口の部分をまとめてくれるのが営業。そこから、どうやって製品を作っていくかという段階で、ソフトウエア部門の我々がエキスパートとして営業に情報を伝えます。より価値ある提案を目指すのが連携の第一歩ですね。
三冨
以前、私もソフト設計部にいました。いざ開発が始まると、お客さまがやりたいことと当社にできることにどうしてもギャップが生まれてきます。それはお金のことだったり、スケジュールのことだったりするのですが、大体のことは営業が窓口になって取りまとめをしてくれます。営業はさまざまなコネクションがあり、お客さまの工場とも話ができたりしますので、うまくまとめてくれています。
吉田
設計は個性が強いメンバーばかりだから、営業は苦労しますよね(笑)。
山崎
エキスパート軍団なんですよ。高い技術を持っているから、みんな自信もある。譲れない部分が必ずあるので、お客さまとの要求の間にギャップが生まれてしまうことがあります(笑)。でも、それをうまくつなげていくことも日本精機の強みの一つなのかなと思います。
土田
どこかの部門が一番上にいて、そこから流れていくんじゃなくて、例えばお客さんから「この技術で作りたい」という要望があると、営業ではなく開発から話が進むこともあります。R&D(研究開発)によって先進技術の習得にも励んでいますので、その技術をもとに営業が企画を作る場合もあり、設計はそこからどんなことができるかという視点で参加します。各部門ができることを持ち寄って魅力ある提案を作っていくのが日本精機の仕事のやり方ですね。
三冨
日本精機は約10年前にプロジェクト制を導入しましたね。ある機種の開発を始めるにあたって、各部門からプロジェクトメンバーを集めて一丸となってものづくりをする。定期的にミーティングをして自分たちの状況を共有し合う仕組みを作って回しています。

Q.2プロジェクトに参加するメンバーはどのように決まるのでしょうか?

吉田
リーダーは経営層が決めますが、各部門のメンバーは適性を見てアサインしますね。
知野
ソフト設計の場合は、部署の中でも数十人規模のチームを作って開発に取り組むことがあります。そのチームをまとめられる人材がソフト設計の代表としてプロジェクトに参加するようにしています。
吉田
各部門が真剣に取り組む中で、譲れないものも出てきます(笑)。「うちの部署はこの時期までに次の情報がほしい」「それはできない、無理だ」「やってもらわないと困る」といったやり取りも出てきます。言われたことに「わかりました」と返すだけの人では連携もつながらなくなってしまいます。
知野
「私たちはこうしたい」「我々はこうした方がいいと思う」といった色々な視点から議論できる人がプロジェクトには必要ですよね。
山崎
お客さまの要求は金額の話もあるわけです。そうなると土田さんの購買部とは「この値段で部品を調達してほしい」という交渉が必要ですし、品質保証部に対しては「お客さまは不良品ゼロが目標だと言っている」「そんなものはできるわけがない」というバトルも繰り広げられる(笑)。
土田
購買部は製品を構成する部品を購入するのが仕事。そしてその値段を決める役割を担っています。最終的には営業がいくらで売るという売価の設定があり、そこからいくらで部品を調達するかという金額が出てきます。我々は仕入先と話をして交渉をしなくてはなりません。お互いの希望金額が合致すればいいんですが、そうならないことがほとんどなので(笑)。どうしても交渉が難航した場合には営業に「もう少し上げてくれ」と話をしたりしています。
三冨
良いものを安く売ることが鉄則なので、コストの面で購買は最後の砦ですよね。私はプロジェクトの運営をやったことがあるんですが、利益を出すために最後に頼るのはいつも購買でした。
土田
しわ寄せが(笑)。
三冨
そういう意味では真のプロフェッショナル集団ですよね。
土田
先行開発から量産まで、購買ってずっと関わり続けるんですよ。まるで、ゆりかごから墓場まで。設計部門は開発段階が終わったら、あとは製造にバトンタッチしますし、製造は開発段階からチェックはしながらも、作り始めてからが本番です。品質保証は途中から参加します。購買は最初から参加して、最後までいますね。量産が始まってからも続きます。例えば、仕入先が廃業した場合も別の仕入先を探さなくてはなりません。円安など世の中の影響も受けますし。自動車業界は量産が終わった後も15年間は修理用のサービスパーツを確保しないといけなかったりもする。値段を決めたのがいつかを調べると、1980年代のものが出てきたりします(笑)。各部門の皆さんと随時情報交換をしながら仕事を進めています。
吉田
設計が独りよがりで進めてしまうと、「これしかない」って思いがちなんですよね。でも、購買や営業や品質保証の目線から意見をもらうことで、「なるほど、もう一回考えてみよう」というきっかけになります。
土田
なんでこんなに高い材料を使っているの?とか、なんでこんなにコストがかかる作り方をしているの?とか…。
吉田
設計はそれがベストだと思っているんですけど、指摘してもらえて気づくこともあります。専門外のところから意見をもらえると、発見は多いですね。
土田
お互いのためですよね。購買も調達しやすいものを使ってほしいので。難しいものを求められて買ってくるより、積極的にフィードバックをして調達しやすいものを使ってもらう。

Q.3コストはもちろん、品質も重要な点だと思いますが、品質保証としてはどのような関わり方をされているんでしょうか?

三冨
品質保証部は4つに分かれているのですが、私はソフトウエアのプロセスの品質のマネジメントを担当しています。ソフトは目に見えないものですが、その品質をどうやって保証するか。ソフトを動かして正解か不正解かという世界ではありません。それをやるといくら時間をかけても不具合を見つけ切ることができないからです。ではどうやるかというと、そのソフトを作った環境やプロセスが妥当かどうか、それがしっかりと守られたかを保証することで、間接的にソフトの品質を保証しています。ソフト設計部が用意したルールが、世界のトレンドから見て品質を保証できるレベルにあるのか。設計のメンバーはそのルールを守っているのか。それをチェックするのが私たちの仕事です。
知野
交通ルールを守っているか、横断歩道を渡っているか、信号無視をしていないか、というのを見ているようなものですね。
三冨
それに加えて、ソフト設計部のルール自体に間違いや非効率な点を見つけて改善を提案したり、指示したりといったこともやっています。「より良いプロセス=より良い品質」のソフトを作るためにソフト設計と二人三脚でやっています。
知野
良い関係を築きつつ、怒られるんじゃないかと怯えつつ…(笑)。
三冨
品質保証はちゃんと注意できる人じゃないといけないし、例え嫌われたとしてもめげない鉄の心も必要ですね(笑)。
知野
開発にとっても、より良いものを提供するために必要な連携です。
三冨
近年ではサイバーセキュリティという分野も一部を担っています。これまではメーターが市場に出てしまえば私たちの仕事は終わりだったんですが、今はソフトの変更ができたり、ネットワークにつながっていたりもするので、後から脆弱性が見つかることもあります。パソコンでもありますよね。メーターでも同様のことと考えなければいけない時代になっています。当社がリリースしたソフトウエアや製品に危害を加えるようなものはないかという情報を集め、問題が見つかればお客さまと連携をした対応する。そういった取り組みを始めています。ずっと仕事が続く購買の大変さがようやくわかりました(笑)。
吉田
昔のメーターはスピードや走行距離をお知らせするだけのものだったのですが、今やタブレットと見分けがつかないものもありますよね。ドライバーに対するインターフェースという枠を超えて、スマホやナビゲーションとつながり、ネットワークにも接続できる。機能が豊かになる一方で、リスクも大きくなっています。そういった状況の中で、安全性は高めつつ、値段は安く抑えつつ、その両立を目指して連携をしていますね。

Q.4他部門の方に聞いてみたいことはありますか?

三冨
吉田さんに質問です。私がソフト設計をやっていた時は、まだ外装設計も近くにいたんですよ。品質保証に異動になって遠くになってしまったので、今の外装の一番新しい技術ってどんなもの何ですか?
吉田
昔はメーターは見た目が勝負でしたが、今はディスプレイ中心に変わっているので、外装分野の仕事は減ってきているのが現状です。でも、表示機をどう使いこなすか、重量が上がっている分をどうクリアするか、などの課題はあるので、ドライバーとカーメーカーのそれぞれに対してどんな価値を提案できるのかを探しているところではあります。あとは当社が力を入れているヘッドアップディスプレイとの連携という点にヒントもあるのかなと思っています。これをプロジェクトにしてもらおうかな(笑)。
知野
現在、ヘッドアップディスプレイの市場はヨーロッパが中心だと思うのですが、営業としては今後どんな戦略を考えているんでしょうか。
山崎
自動車が進化していく中で、ヘッドアップディスプレイの存在感が高まっているという認識はあります。現状は確かにヨーロッパやアメリカからの引き合いが多いです。今後さらに電気自動車や自動運転が普及していきますので、それに合わせてどんな変化をしていくのかは簡単には予測できないというのが正直なところです。
吉田
一方で当社は自動車だけではなく、オートバイのメーターも作っています。二輪の場合はまた全く違う道に進むと思うんですよ。ヘッドアップディスプレイを搭載する方法も未知数ですし、オートバイの場合はアジアのエンドユーザーも多い。高級なメーターがニーズに合うのか、逆に安ければいいのか、品質はどこまで担保できるのか。そういった事も考えていかないといけません。環境問題も関わってきますし、何かと先が見えづらい部分で外装は色々と取り組んでいます。
知野
グローバルに物事を捉えることが求められる中で、土田さんたちは部品調達の面でも世界を見ていかないといけませんよね。
土田
そうですね。購買の場合、時間軸でいうとゆりかごから墓場までなんですけど、機能軸で見ると、ローコストなものから高級なものまで全方位で見ていかなければなりません。でも、それをやりきることは難しいので、限られたリソースの中でどうするのかが購買の課題です。そこで今は現地調達化を進めています。各地域に購買の部員を配置して、ローコストカントリーと言われるアジアの購買担当は安い部品を探し、ヨーロッパなどでは最新の技術を発掘する。地域の特性の情報を集めて、設計にフィードバックをしています。日本で買って海外拠点に送るのは輸送費もかかりますので、現地で部品を買ったほうがいい場合も多いですね。供給元をサプライヤーではなくパートナーと呼ぶようにしているんですが、パートナーといかに信頼関係を築けるかが良い部品を安く買うためのカギだと思っています。日本にいてASEANのパートナーと密な関係を築くことはできません。現地の購買が信頼関係を築くために活躍しています。

最後に学生の皆さんへの
メッセージをお願いします。

山崎
デジタル化によってコミュニケーションは変化していますが、日本精機という会社は社員同士の密度が濃くて、人間の力を大切にしているんですよ。やっぱり面と向かって会話をするという基本的な関係を大事にできる人がこの会社では求められていて、そういう人が良い仕事ができるんだと思います。
吉田
私は外装という目に見える部分を設計しているので、作ったものが世に出ているのを実感できることがやりがいです。車やオートバイといった日本の産業を支えてきた製品に関わっていることに誇りを持っていますし、楽しみや喜びを直撃で感じられる職場だと思います。いつでもメーターが気になる職業病にもなれます(笑)。
知野
現在、車は色々なネットワークとつながることができます。将来的には車のメーターもスマホ化するかもしれません。ソフト開発は、今後さまざまな社会のシステムとつながるようなメーターを作るようになると思うので、未来の技術に興味があって熱意がある方にぜひ来てもらいたいですね。一方で、この会社は人のつながりを大事にしていて、みんなで話し合って一つのものを作っています。そういったことに喜びを感じてもらえる方だと、活躍できると思います。
土田
購買部はパートナー企業によく「良い製品は良い部品から」とお話をします。同じように「魅力のある企業は、魅力のある人材から」だと思うんです。魅力があるのはどんな人だろうと考えると、仕事以外の趣味がある人なんだろうなと。「私はこれが好きで、この分野には詳しい」ということがあるといいと思います。私は日曜大工が好きでものづくりに興味があるんですけど、取引先の工場を見せてもらうと楽しいですし、どんどん質問したくなります。学生のうちに好きなものや趣味を見つけてほしいですね。
三冨
私は入社して約20年なんですが、尊敬できる人が星のようにたくさんいる会社です。「この人のように資料を作りたい」とか「この人のように発表できるようになりたい」とか、いろいろな人を目標にしながらやってきました。今では先輩だけでなく、後輩にも尊敬できる人がいます。そういった環境の中で自分を高めていきたい人にぜひ来てほしいなと思います。
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