PROJECT STORY01

運転環境をより安全にする、
最新の情報表示技術を世の中へ。

「より安全に、より快適に」を開発コンセプトに、世界中の自動車やバイクのメーターを製造してきた日本精機。そんな私たちが次世代の技術としていち早く注目し、研究開発に取り組んできたのが「ヘッドアップディスプレイ(HUD)」です。ドライバーの視線移動を軽減し、より安全で快適な運転環境を実現するこのシステムを、一台でも多くの車に搭載してもらうために何が必要なのか。プロジェクトメンバーたちが熱く語ります。

 

MISSION

ヘッドアップディスプレイを普及させよ。

ヘッドアップディスプレイ(HUD)とは

車のスピードやナビゲーション表示といった情報を、フロントウィンドウまたは専用の透明パネルに映し出す車載機器。ドライバーが前方視線のまま情報を確認できるため、安全運転をサポートするシステムとして特に欧米を中心に普及が進んでいる。Head-Up Displayの頭文字を取って「HUD(ハッド)」と呼ばれることもある。

MEMBER

  • 川口 毅

    川口 毅

    • HUD事業企画部
    • HUD事業戦略
    • アシスタントマネージャー
  • 恩田 貴

    恩田 貴

    • HUD事業企画部
    • HUD事業戦略
  • 飯田 泰行

    飯田 泰行

    • HUD設計部
    • HUD設計1
  • 渡辺 祐紀

    渡辺 祐紀

    • HUD設計部
    • HUD設計4

HUDが実現する安全性

飯田

車の運転中にメーターやナビを見ると、どうしても視線が下がってしまいます。当然、前方から目を離したその一瞬も車は進み続けているので、実は大変危険です。また、ナビの情報を見落としてしまった経験は誰でも一度くらいはあるはず。HUDはフロントウィンドウから見える風景の中に表示が出るため、見落としが少なくなるのが利点の一つです。

日本精機のHUDは、特に表示の歪みが少なく、表示を均一に照明できている点で優れています。運転中に視線を移動させるとHUDの表示が曲がって見えてしまったり、明るいところと暗いところが見えてしまったりすることがあるのですが、当社はそれが非常に小さいです。

恩田

車の速度が上がれば上がるほど、ドライバーの視野が狭くなりますし、ブレーキを踏んでから止まるまでの制動距離も長くなります。飯田さんが言われた通り、速度と共に危険が増しますので、HUDの表示位置や大きさ・表示タイミングなどがとても重要となり、そして安全性に大きく影響します。視野が狭くなっている状況で何らかの危険が発生した場合、認知→判断→反応の流れがしやすいHUDでないと運転手にとって負担が増えてしまう為、最適な表示位置や、適切なタイミングで映し出すことが重要です。

飯田

日本精機はHUD開発のパイオニアです。カメラでいえばピント調節の部分を細かく設定することで数字や文字がぼけることがないように設計しています。HUDの中にはLEDが入っているのですが、車外の明るさ(昼夜、トンネル内など)を感知して、表示の明るさの自動調整などもしています。

また、メルセデスベンツのSクラスで導入された次世代型のAR-HUD(拡張現実ヘッドアップディスプレー)は道路上に矢印が出るので更に表示品位が上がり、他社と比較しても一目瞭然でその表示の良さが分かるかと思います。

渡辺

AR-HUDは実際に運転席から見ると約10m先に矢印が表示されます。そのため、上下左右の視線移動だけでなく奥行きのピント調整も少なくて済みます。人間は年齢を重ねると目のピントが合うまでに時間がかかるようになりますので、その点でも安全性に貢献し、尚且つ眼球疲労の軽減にもつながります。

実体験で認知度を上げる

恩田

欧米ではHUDの普及が進んでいますが、日本での認知度はおよそ6割というデータが出ています。実は最近のネット記事でごく少数の方から「表示が走行に邪魔になるのでは?」という心配の声がありました。実際に使用してもらうと、見たい時には情報をすぐに確認することができ、普段の走行では視界を阻害しないように設計配慮がされています。

調査機関のレポートによると、HUD搭乗車に試乗した場合、HUD非搭乗車の試乗と比べて、HUDの購入・搭載率が51%もアップするというデータも。普及のためにはまず体験してもらうことが重要だと言えますね。

川口

その結果を受けて日本精機では、まずHUDの認知度を上げるための活動をスタートしました。当初はWebやSNSから重点的に広めるという案もありましたが、現在は体験を重視してイベント開催を軸にしています。HUDの存在を知っていた人でも実際に使うと感動するようで、その反応にこちらが驚くほどですね。

恩田

例えば、地域の自動車学校で高齢者教習の参加者を対象にイベントを実施。HUDを搭載した体験車両や、車に乗らなくても体験できるHUDサンプルなどを用意して、利便性や安全性について体感してもらい、大変好評でした。

飯田

設計の立場からも普及のための努力をしていますが、そのひとつがコンパクト化です。車のインパネ内にはエアコンダクトやメーターなど様々な部品が詰まっています。そこにさらにHUDを搭載するためには、その分のスペースを確保しなくてはなりません。特に軽自動車やコンパクトカーはスペースの問題がシビアです。HUDの利便性を伝えることはもちろんですが、搭載しやすいように小型化することも私たちの使命だと感じています。

渡辺

現状HUDは価格が高く、贅沢品として見られてしまいます。なるべく手軽にHUDを選べるようになるためにも、コストを抑えることも重要です。一つ一つの部品を見直し、コストダウンのための検討を進めていきたいです。

恩田

HUDを搭載する場合、ある軽自動車を例に上げると車両の価格設定が94万円〜134万円なのですが、HUDの設定は一番上の車両グレードのみで、且つオプションとして用意されているため、車両価格134万円+オプション8万円を支払う必要があります。HUD以外の安全装備も充実しますが、一番下のグレードと比較すると支払う金額は50万円近く上がってしまう計算ですね。

また政府統計によると、消費税が8%に増税された2014年から2020年までの間で車両価格は約100万円も上昇しており、家計にとってHUDを購入してもらう事がより困難になっています。私たちはHUDの価格を下げて、メーカーが消費者に安く車両販売できるよう協力する必要がありますね。

普及率向上のために

飯田

HUDを普及させるためにも、これまで以上にお客さまの要望を引き出し、より良い設計やコンセプトを提案できるように取り組んでいくことが目標です。

渡辺

今後さらに色々な表示機が増えてくると思うので、私も知識を広げつつ、お客さまのさまざまな要望に応えていきたいです。私は1年間の産休・育休を控えています。その間にも技術はすごいスピードで進歩していくので、復帰後は早くそのブランクを埋めつつキャリアアップできるような仕事をしていきたいです。

飯田

渡辺さんなら、大丈夫だと思います(笑)。

川口

HUDをまだ知らない方、体験していない方が日本国内にはたくさんいるので、一人でも多くの方に体験してもらって「HUDはいいな」と思ってもらいたいです。その中でも日本精機のHUDは特にすごいと知ってもらえたらと思います。

恩田

現在私は、HUDに関するマーケティングについて重点的に勉強をしています。今後は社内の各部門に向けて、進出地域や販売戦略などを提案する機会が増えてきますので、そのためのスキルを身に着けていきたいです。

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