飯田
車の運転中にメーターやナビを見ると、どうしても視線が下がってしまいます。当然、前方から目を離したその一瞬も車は進み続けているので、実は大変危険です。また、ナビの情報を見落としてしまった経験は誰でも一度くらいはあるはず。HUDはフロントウィンドウから見える風景の中に表示が出るため、見落としが少なくなるのが利点の一つです。
日本精機のHUDは、特に表示の歪みが少なく、表示を均一に照明できている点で優れています。運転中に視線を移動させるとHUDの表示が曲がって見えてしまったり、明るいところと暗いところが見えてしまったりすることがあるのですが、当社はそれが非常に小さいです。
恩田
車の速度が上がれば上がるほど、ドライバーの視野が狭くなりますし、ブレーキを踏んでから止まるまでの制動距離も長くなります。飯田さんが言われた通り、速度と共に危険が増しますので、HUDの表示位置や大きさ・表示タイミングなどがとても重要となり、そして安全性に大きく影響します。視野が狭くなっている状況で何らかの危険が発生した場合、認知→判断→反応の流れがしやすいHUDでないと運転手にとって負担が増えてしまう為、最適な表示位置や、適切なタイミングで映し出すことが重要です。
飯田
日本精機はHUD開発のパイオニアです。カメラでいえばピント調節の部分を細かく設定することで数字や文字がぼけることがないように設計しています。HUDの中にはLEDが入っているのですが、車外の明るさ(昼夜、トンネル内など)を感知して、表示の明るさの自動調整などもしています。
また、メルセデスベンツのSクラスで導入された次世代型のAR-HUD(拡張現実ヘッドアップディスプレー)は道路上に矢印が出るので更に表示品位が上がり、他社と比較しても一目瞭然でその表示の良さが分かるかと思います。
渡辺
AR-HUDは実際に運転席から見ると約10m先に矢印が表示されます。そのため、上下左右の視線移動だけでなく奥行きのピント調整も少なくて済みます。人間は年齢を重ねると目のピントが合うまでに時間がかかるようになりますので、その点でも安全性に貢献し、尚且つ眼球疲労の軽減にもつながります。