PROJECT STORY02

次なる主力製品開発へ、
民生プロジェクトチームの挑戦。

メーターなどの車載用計器と並んで、日本精機にとって重要な製品である「民生機器」。家電などのリモコンや、OA機器、FA機器などの分野です。この民生機器を扱う部署のメンバーたちで組まれたプロジェクトチームに今回課せられたテーマは、日本精機オリジナル製品の開発。これまでBtoB(企業間ビジネスモデル)を展開してきた当社が、BtoC(一般消費者向けビジネスモデル)に本格的に挑戦するプロジェクトでもあります。

 

MISSION

日本精機 民生初となる
オリジナル製品を開発せよ。

CO2Lampとは

光と音で換気の目安を教えるCO2濃度測定器。空気中の二酸化炭素濃度を感知し、「正常=青」「注意=黄」「換気=赤」という3段階の光の色で、目に見えない部屋の空気の状態を可視化する。無駄を削ぎ落としたデザインとコンパクトなサイズで、置く場所を選ばないのも特徴。日本精機 民生初のオリジナル商品として2021年に発売された。

MEMBER

  • 児玉 忠

    児玉 忠

    • 民生商品開発部
    • 民生ソフト技術
    • アシスタントマネージャー
  • 大崎 大樹

    大崎 大樹

    • 民生商品開発部
    • 民生ソフト技術
  • 中尾 祐樹

    中尾 祐樹

    • 民生商品開発部
    • 民生ソフト技術
  • 小林 由衣乃

    小林 由衣乃

    • 民生商品開発部
    • 民生ソフト技術

企画の期限は1週間

児玉

プロジェクトのスタートは2021年4月2日。「BtoCの新企画をやる」という上司の言葉から始まりました。今まで当社はBtoBをメインとしてしかやってこなかったのですが、そこで培った技術を活用して日本精機のオリジナル商品の開発ができないかというチャレンジでしたね。社内プレゼン用の企画書の締切はなんと1週間後。それが大変だったね。

そこで目をつけたのが、約2年前から開発を進めていたスマートディスプレイ。リモコンの機能に加え、リビングに馴染むデザインと、あったら便利だなと思う機能を搭載することができないか。という発想が出発点になっています。

スマートディスプレイの問題点は、機能が多すぎたこと。値段が高くなりすぎてしまうし、どんな商品なのかも分かりにくい。そこで、機能を絞り込むことにしました。

小林

協力していただいたのがグループ会社でもある新潟マツダ自動車。お店で働くスタッフの皆さんに、どんな機能が欲しいか聞かせてもらいました。そこで人気だったのがCO2濃度の測定機能。カーディーラーなので日々接客のシチュエーションがあるんですが、十分な換気ができていることをお客様に伝えたいという声がありましたね。

児玉

もともとスマートディスプレイが「光と透明感」をデザインのテーマにしていたので、その延長線上でCO2Lampの構想が出てきました。世の中にある二酸化炭素計は数値が表示されるものがほとんど。厚生労働省は1000ppm以上になったら換気が必要だという基準を出しているんですが、まだまだ世間の人はそれを知らない。そのため、もっとシンプルに視覚的に分かる方法はないかと検討し、天面の大型発光体で3段階の色によって表示するというコンセプトが決まりました。

小林

他社製品も色々と調べましたが、やはり数値表示のものが圧倒的。粗悪品も多く、ニュースなどでも注意喚起されていました。アルコールで反応してしまうとか、CO2を認識しないとか、そういった中でMade in Japanの信頼できる製品が必要であると感じました。あとは、遠くからでも分かる色と光の表示もいいと思いました。

児玉

小林さんに市場調査もしてもらって、私たちの独自性をみんなで話をして、あえて数値の表示をなくそうと決まりましたが、英断だったよね。信号機のように3段階の光でお知らせするというのが、大きな特徴になりました。

中尾

ユーザー視点に立ち、子どもにも分かりやすい方法を検討して最大の特徴が決まりましたね。そこから、商品の見た目やコストなどを含めた企画書を1週間でまとめました。

児玉

CO2Lampはほぼ1週間でできたと言えますね(笑)。大崎さんががんばって3Dモデルやサンプルも作ってくれました。

中尾

会議室を占領して、ほぼ毎日打ち合わせをしていました。ホワイトボードも「消さないで」と書かれた状態でした(笑)。

大崎

コロナ禍で各社が二酸化炭素濃度計を発売し始めていたので、スピードが重要でした。メンバーでかなり密にやり取りをして企画を詰めることができていたので、社長への報告後、すぐにOKが出ましたね。

自分たちで決める難しさと楽しさ

大崎

いざ開発段階に入ると、自社製品なので形状もサイズも自分たちで決めなければならない。最初はそのことに苦労しましたね。片手で持ち運べるようにコンパクトなサイズにしたり、360度どこから見ても側面から光が見えるように天面発光部の材料、高さや厚みを設定しました。側面のインジケータについては、あえて数字を小さくして、「正常」「注意」「換気」といった文字に目が行くように配慮しています。

児玉

実は天面に搭載されているLEDはひとつなんですよね。ひとつの光がきれいに拡散するように設計しています。その拡散技術も当社が培ってきた技術です。

大崎

もともとは車載メーターや液晶表示のバックライトなどで使われてきた技術を生かして設計しています。光を拡散させる材料の配合比についても、関連会社であるエヌエスアドバンテックに協力してもらい研究をおこないました。NSの技術だけでなく関連会社の技術、協力もあってのことと思います。

中尾

何度も工場に行って、試作と確認を繰り返していましたね。

児玉

光が重要な製品なので、大崎さんにこだわってもらいました。デザインの一つ一つを相談しながら進めていくのは、それなりに苦しかったけど、自分たちで決められる楽しさもありましたね。

小林

新入社員の私でも製品開発に関われたのが嬉しかったです。

中尾

実際に販売してみると、特に幼稚園や小学校で好評をいただいています。教室に置いておくと、子どもたちも空気の状態が分かるので、自分たちで窓を開けて換気ができます。

児玉

新潟工科大学にも設置していただいているのですが、CO2Lampを置くことで換気が習慣化されたとうかがいました。「良い製品ですね」と言っていただいています。

コラボ商品も続々登場

児玉

その後はコラボ商品も企画しました。これまで、アルビレックス新潟モデルと長岡花火モデルの2種類のコラボ商品を販売しています。アルビモデルはグループ会社の日精サービスがクラブスポンサーになった記念として発売。長岡花火モデルは当社がスポンサーをしているご縁で企画が実現しました。

大崎

アルビモデルは実は天面が黒色のスモークになっています。アルビカラーをイメージして、「正常」時濃いブルーの光が表現されるように調整しています。

児玉

長岡花火モデルは、長岡造形大学の学生さんに意見をもらって一緒に作り上げました。それらがきっかけになり、長岡造形大学の先生と一緒に、産学連携授業もさせていただいたんですよね。日本精機の技術を紹介し、学生さんにも「こういう製品があったらいいな」というアイデアを出してもらうという内容で、私たちにとっても貴重な経験になりました。

CO2Lampは、新潟県長岡市のふるさと納税の返礼品にも採用。非常にありがたいことに、購入者の方々より数々のご好評をいただき、 販売台数も1万3500台(2022年11月現在) を突破しました。私たちの予想を上回る販売台数です(笑)。

中尾

初めてづくしの中で、これは成功だと思います。

小林

いくつか展示会にも出展しました。来場者の声を聞いていると、やはり色で分かるという点が好評ですね。

児玉

東京インターナショナル・ギフト・ショー 秋2022では、「ベスト・コンセプト賞 “商品のコンセプトが魅了的で心を打つ商品”」 もいただきました。開催期間3日間で延べ19万人 が来場する巨大な展示会だったんですが、目利きのバイヤーの投票によって決まる賞をいただけたことは、非常に励みになりました。

身近にある「民生」の面白さ

中尾

今回のCO2Lampに限らず、私たちが普段扱っている民生機器の分野は車載メーターとは違った面白さがあります。リモコンやお風呂の給湯器パネルなど生活に身近な製品ばかりなので、たくさんの人が触れるものですし、車を運転しない人にも使ってもらえるところが魅力だと思います。

児玉

某大手家電メーカーのエアコンのリモコンを作っているんですが、テレビでCMを見ても「実は私たちが作っているんだよ」と誇らしくなりますね。

大崎

面白さといった点では、民生機器は車載に比べ開発期間が短いので、数多くの製品に携われる機会があり、商材の幅も広いので幅広い技術力、知識を身に付けられることも民生の面白さだと思います。

日本精機といえばやはり車載事業のイメージなので、今後は車載以外で「日本精機といえば」という代表的な製品を開発したいですね。エンドユーザーの声を直接聞けるBtoCの製品で実現できれば、よりいいですね。

中尾

私は、買って良かったと思ってもらえる製品を作りたいです。特にBtoC製品は商品企画の段階から携わることができます。ユーザーがどう使うのかを考えて製品を作れるチャンスなので、ユーザー視点に立った企画に挑戦したいです。

小林

私はもっとマーケティングの能力を身につけて、社会に影響を与える製品を作りたいです。今回BtoC製品に関わって、社会の動向や消費者の思考について学びましたし、もっと知りたいと思いました。みんなに使ってもらえる「これがあるといいな」と思える製品を作りたいです。

児玉

もちろん、BtoBも面白みがあります。大手家電メーカーと一緒に開発ができることも醍醐味ですし、最新技術とのコラボや大きなシェアを占める製品の一部に関われるという楽しみもあります。民生向けの組み込み製品を回路・外装・ソフト一体で開発することができる、新潟では数少ない企業ですので、興味がある方はぜひ当社に応募してもらいたいですね。

新潟県感染症対策認証制度対応製品 CO2濃度測定器 CO2 Lamp
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