沼屋
2013年頃、会社から「今までと違う新しいことをやってくれ」という話があり、R&Dセンターの各部門から4人のメンバーを集めてプロジェクトを開始しました。当社は「見えないものを見えるようにする」ことでお客さまに幸せを届けてきた会社です。その軸足はぶらさないことを決め、まずは様々な業界にどんなニーズがあるかを徹底的にリサーチしました。当社の技術を活かすことができ、事業としての規模が期待できる分野として、工場やプラントでの遠隔監視システムがいいのではないかという結論に至りました。
まだ何も形ができていない状態から飛び込みでの客先訪問を繰り返し、「こんな企画をしているんですが、どうですかね?」と聞いて回っていました。ニーズ確認をしながら軌道修正をし、仕様を確立していきました。当初、私はセンサーだけ販売できればいいという考え方だったんですが、メンバーからは「センサーもクラウドサービスも含めてトータルで製品化しよう」という意見が出てきて、じゃあやってしまおうと。それで本格的にIoTに挑戦することになりました。
立海
最初は手づくりで試作をしていたんですが、テストをするにはセンサーだけでは駄目で、システム全体をつくってみなきゃいけないんです。自分たちでつくってみると、非常に苦労しました。技術者の私たちでも大変なのだから、実際に使う工場やプラントの作業員たちにはもっとハードルが高いだろうと思ったんです。簡単な設定で使えるくらいの製品でないと買ってもらえないと感じました。
社内の誰もが経験したことのない製品をつくっているので、手探りの連続でした。サンプルができて、ようやくデータを取れた時にようやく一つ壁を乗り越えたかなと感じましたね。それまでは頭の中でシミュレーションをしてどんな課題があるかを見つけるしか方法がなかったのですが、形になったことで実際に使って課題を抽出できるようになりました。